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リップ[LIP]フランスらしいユニークなデザインが人気の名門時計メーカー・リップ(Lip)社。その歴史は大変古く、フランス・ベザンソンの時計技師エマニエル・リップマンが1807年に制作したストップウォッチに始まります。歴史上の人物にも時計を贈呈した経歴でも有名で、1810年にナポレオン1世がベザンソンに訪れた際、彼に時計を贈呈したという記録が残っているほどです。時計以外にも、フランス空軍機のコックピットの計器類を制作するなど、技術力でも確かなものがあり、信頼を得ていました。チャーチル首相、フランスのドゴール大統領や、アメリカのアイゼンハワー大統領など、世界のVIPも愛用するほどデザインや精度も洗練されています。1974年には”Mach 2000” (マッハ 2000)シリーズが、当時のデザイナーであるロジェ・タロン（ROGERTALLON）氏の手で生み出され、今日までリップ社の代表的モデルとして高い人気を誇っています。その後もリバイバルセブンティーズシリーズをリリースしたり、現在も若いデザイナーの斬新な発想を取り入れて次々と新作を発表しています。デザインの元となっているのは、創業者の孫にあたるFred Lip氏が、友人で著名な登山家でもあるリオネル・テレイ氏（ヒマラヤ山脈にある世界で5番目に高いマカルーの初登頂などで知られる）との会話をもとに生み出した、その名も「HIMALAYA」と名付けられたモデルです。それはスポーティーとエレガントを兼ね備えたオートマティックタイプ（自動巻き式）で、人類で初めて8，000m級の登頂に成功したフランス人登山家であり後に政治家にもなった、モーリス・エルゾーグ氏が登山時に着用したことで、広く知られるようになりました。1950年代当時は、フランスの登山家の約9割が、同モデルを好んで着用していたという逸話もあります。